日本の離婚制度はどうなっているの?

日本の離婚制度

日本の民法は、「夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。」と規定しています(763条)。この離婚は届出によって効力が生じるとされています(739条・764条)。

つまり、離婚をしたい夫婦は、話し合いをして作った離婚届を出せば(届出人の本籍地又は所在地の市役所、区役所又は町村役場です)、有効な離婚が成立することになります。

海外では、離婚の際には裁判所の関与が必要な国が多いです。そもそも離婚自体を認めない国もあります(そのような国でも、婚姻の無効や取消しを認めることはあります)。

たとえば、私が赴任していたネパールでも、離婚には裁判所の手続が必要となります。

日本は、制度だけを見れば世界でも離婚のハードルが低い国といえるでしょう。

もっとも、世界的に見て離婚率は決して高い方ではありません。

離婚率の高い国といえば、ロシアやアメリカが有名ですが、日本はそれほどでもありません。

家族関係についての意識やスタイルは国や文化によって異なりますので、そうした影響があるのでしょう(親権制度の影響もあるかも知れませんが、ここでは触れません)。

調停離婚

協議離婚には理由は要りません。

きちんと話し合って離婚届を作成・提出すれば離婚ができます。

しかし、話し合いがまとまらない場合はどうでしょうか。離婚そのものに対する意見が異なる場合や、離婚はいいけど財産の分け方や親権、養育費についてまとまらないから離婚届も作れないような場合です。

そのような場合は、弁護士を入れて交渉をすることもできますし、家庭裁判所に離婚調停を申立てることもできます。

1対1の話し合いではまとまらないことも、弁護士を入れた交渉でまとまることがあります。

また、家庭裁判所で裁判官や調停委員に間に入ってもらうことで、より解決の落としどころが見つかりやすくなります。調停では基本的に、相手と直接顔を合わせることもありません。

私も、離婚調停を受任することが非常に多く、大半のケースでは最終的に調停で結論に至ります。

法律上の離婚事由

調停でも話がまとまらない場合は、審判に移行するか訴訟で白黒をつけることになります。

ここで問題になるのが、「相手が嫌だと言っていても離婚できるのはどんな場合か」です。

民法770条は、以下のように定めます。

(裁判上の離婚)

 1 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

  ① 配偶者に不貞な行為があったとき。

  ② 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

  ③ 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

  ④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

  ⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

 2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請  求を棄却することができる。

つまり、この①~⑤のいずれかの事由があれば、相手が嫌だと言っても、裁判所が「2人を離婚する」という判決を出すことができるわけです。

裁判では、これらの事情があることを主張・立証していくことになります。

よくあるのが①不貞行為(浮気、不倫)です。

また、条文上明記されていませんが、⑤の「その他」の場合として、別居が何年も続いたケースも多いです。

最初は穏便に協議離婚をしようとしていても、話し合いが決裂して裁判をすることになるかも知れませんし、調停の段階であってもこうした離婚事由を主張することは有効です。証拠は必ず取っておいてください。

離婚に伴う様々な処理

離婚というのはなかなかに大変な作業です。

離婚そのものもさることながら、それまで共同体として生活してきた環境そのものを片付けて処理することになるからです。様々なことを決めたり、物の引き渡しやお金の支払いも出てきます。

結婚している間に築いた財産は2人で分けることになります。

未成年の子どもがいる場合は親権者を決めることになります。養育費をいくらに決めるかも大切です。

もし不倫やDVが理由で別れるなら、慰謝料の問題も発生するでしょう。

離婚には、こうした問題の解決が伴うため、当事者にとっては大変な負担になることが多いです。精神的に消耗し疲弊してしまって、本来は主張できるはずの権利を諦めてしまう方もいらっしゃいます。

負担になる時は弁護士に相談して下さい。

弁護士を立てれば、相手方と直接のやり取りをしなくてよくなりますし、適切な法的アドバイスと判断に基づいて話を進めることで、ご自身の利益を守ることができます。

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石﨑 明人

石﨑 明人

AKITO ISHISAKI
弁護士 Attorney at Law(Admitted in Japan)